2005年4月合宿レポート

                                        By Susumu Fukushima
   今回、25年ぶりに現役の合宿に参加してきました。

   目的は次の2つ
    ・ホームページに載せる「合宿レポート」の取材
    ・空を飛ぶディスカスの撮影(フォトギャラリー用)

   久しぶりの妻沼は驚きの連続でした。
   そんな驚きや我々の時代との違いを中心に2005年度4月合宿をレポートします。

   写真をクリックするとより大きな写真が表示されます。

   西山先生、ダブルクリックじゃないから楽でしょう!(笑)


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  【宿舎】
   小学校の校舎を移築した昔の宿舎とは違い、近代的な宿舎になっていた。
   格納庫の上の階には、グライダーの講義や整備教育が出来る部屋まであった。


  【教官会議】
   朝8時30分頃、訓練に参加しているすべての大学の教官と主将が宿舎前に集まり
   会議を行っていた。何について話していたのかは不明。
   
  教官会議  

  【ランウェイ】
   ところどころはげてはいるが全面に雑草が生えており、
   Bravo(土手側)、Charlie(センター)、Delta(川側)の3本のランウェイの使用が可能。
     
  ランウェイ全景   ランウェイ説明  
   離陸はBravoとDeltaを使用し、着陸の際、BravoやDeltaに機体がセットされている場合に
   Charlieに降りていた。Charlieからの離陸はない。

   BravoとDeltaの横に幅3mの舗装された道があり、リトリブカーはウインチに戻る際その
   道を走らねばならない。

   昔は雨が降るとあちらこちらに水溜りができ、リトリブカーはその水溜りを避けながら走
   ったものたが.....楽しそうに走っていたよな〜小黒!


  【合同合宿】
   今回の合宿は学習院大学との合同合宿と聞いていたので「なんで?」と漠然と疑問に感じ
   ていたが、ピスト周りに着いて納得した。

   学習院の部員は数名しかいない。彼らだけでは合宿できないのだ!

   科技大と学習院はDeltaを、Bravoは法政と早稲田の合同チームが使用していた。
      早稲田も部員不足で彼らだけでは合宿が出来ないとのこと。

      思わず「ウッソー!」と言ってしまった。

   我々の頃は早稲田の部員数は80人を超えていたのに.....
   人数が多すぎるので2チームに分けて合宿していたのがウソのような話だ。

   あの早稲田が自分達だけでは合宿が出来ないというような状況の中、科技大の後輩達が
   頑張っている姿を見ていると、航空短大の先輩たちが苦労して設立した航空部の伝統が
   脈々と受け継がれているんだと感激してしまった。


  【機体】
   鋼管羽布張りの23Cや三田を見慣れた私にとって、ランウェイにずらりと並ぶFRP
   の機体は圧巻だった。

   ASK21、SZD-50-3 Puchacz、SZD-51-1 Junior、SZD-PW5、Discus

   妻沼ではなく海外にいるのではと思うほどだった。昔とは景色が違うのだ!景色が!
         
  ASK21   SZD-51-1 Junior   SZD-PW5   DiscusB  

  【4連ウインチ】
   うわさに聞いていた4連ウインチを今回初めて見た。
   
  4連ウインチ   4連ウインチ
   リトリブカーはなんと2tトラック。
   そのリトリブカーに4本の曳航索を取り付ける装置がごつい!
 
  リトリブカー
   リトリブカーは4本の索を引きながらランウェイの真ん中を機体目指してゆっくりと進む。
   
  4本の索が重い   4連ドラム
   機体の手前10mほどでリトリブカーから曳航索を離し、ランウェイがDeltaなのでDelta
   の川側に4本すべての索を置く。
 
  索を取り外す
   4本の索にはそれぞれ、川1、川2、川3、川4というように名前がつけられている。

   川1とは川に一番近い索という意味で、川4とは川から一番遠い索という意味である。

   まずは川4の索にヒューズを取り付け、そのヒューズを機体に取り付け準備良し、出発用意!

   ウインチマンは川4のドラムを指定して巻き取り開始。機体が動き始めると出発!

   ウインチマンは機体の上がり具合を見ながらスロットルを調整する。

   機体が離脱すると、ウインチマンはパラシュートがウインチの手前10mぐらいの地点に
   落ちるように索を巻き取っていた。

   何回か見たが、パラシュートは毎回同じ地点に落ちていた。
   ウインチマンの藤井君、お上手でした!
 
  索の巻取り
   我々の時代は離脱したら索を巻き取る事はなく、索がランウェイに落ちるのを待ち、
   その地点からリトリブカーが索を機体まで引っ張っていた。
   少しでもリトリブする距離を少なくする為である。

   しかしその為に索は数百mの高度から地面に落ちる衝撃と、リトリブ時の地面との
   摩擦で相当痛んでおり、それが索切れの要因でもあった。
 

   
  パラシュートの回収   パラシュートのおりたたみ
   ヒューズは単座機用と複座機用を色で区別しているので、機体に取り付ける際に単座か
   複座でヒューズを選択しているのである。

   そうこうしているうちにピストでは、川3の索にヒューズを取り付け、ヒューズを次に
   飛ぶ機体に取り付け準備良し、出発用意!という手順を繰り返す。

   索が機体のそばまで来ているので、4回連続で機体を飛ばすのである。

   「すごいな〜」と思うと同時に、
   「ランウェイに4本も索があるのだから離陸時に索が絡まないの?」という疑問も湧い
   てきた。しかし1日見ていたが絡むことは一度も無かった。ほんとうにすごい!


  【索点検と索切れ】
   朝一番の教官ミィーティングが終わって、8時45分頃にランウェイに到着した時点で
   朝一番の索点検は既に終わっていた。

   訓練規則では、25発上げた時点で索を点検しなければならないと決められているらしい。

   4連ウインチの場合、4本の索で25発ずつ上げるとなると100発目のフライトが終了
   した時点で索を点検しなければならない。しかし現実には4連ウインチでも100発上げ
   ることはなく、多くて80発ぐらいとのことであった。

   ということは、朝一番に索点検を行えば、訓練中に索を点検する必要はないことになる。
   実際索点検の為に時間が割かれることは無かった。
   これも4連ウインチの効率の良さだと感心した。

   1日訓練に参加していて一度も索切れを見なかった。
   これがどんなにすごいことななのか現役学生達は理解しているのかな?


  【単座機】
   3、4年生になるとソロフライトは SZD-51-1 Junior、SZD-PW5、Discus等の単座機である。

   残念ながら今回Discusで飛ぶ現役はいなかったが、昨年は福田君がDiscusで飛んだそうだ。

   単座機でソロに出られるということが一番羨ましいと思った。
   我々の頃は、23C、ブラニク等の複座機しか無かったので、結局単座機を操縦するという
   喜びを経験することは無かった。

   声を大にしてもう一度言いたい、「羨ましい!」
       
  本田君(3年生)   久保君(4年生)   竹代君(3年生)   善塔君(4年生)

  【Discusの空撮】
   「せっかくDiscusがあるのだから、フォトギャラリー用の写真は自分達で撮りませんか?」
   という私の問いかけに、小野さんと宮内君が「いいね!」と賛同してくれた。

   早速3人で撮影日を4月30日、5月1日と決めた。ところが4月30日に急用が出来て
   しまい、結局30日の夜に妻沼へ到着し、5月1日だけ撮影することとなった。

   あいにく5月1日は曇り空で、なかなかDiscusを飛ばすチャンスがない。
   背景となる空がどんよりとした曇り空では良い写真が撮れないからである。

   昼の1時過ぎ、奇跡的に曇り空から光りが差してきたのでDiscusを飛ばす準備をする。
   1時27分まず小野さんがDiscusで飛ぶ。

   すかさずASK21の前席に望遠レンズカメラを持った私、後席に宮内君が乗り出発。
   離脱高度410m。4連ウインチの威力に感謝感謝。

   離脱と同時にDiscusを探す。川向こう太田方面、やや低い高度をDiscusが飛んでいる。
   宮内君が無線で「あなたの9時」とかなんとか言って小野さんにASK21の位置を知らせる。

   その間、私はレンズ越しにマニュアルフォーカスでDiscusを捉えようとするが、なかなか
   ピントが合わない。どんよりとした背景に白い機体じゃ無理かな?という不安が的中。

   何度かDiscusに近づき、斜め上からのアングルで何回かシャッターを押す。
   
  DiscusB   DiscusB
   気がつくと、後から上がったASK21の方が高度が低いではないか。
   今度は斜め下からのアングルで何回かシャッターを押す。
     
  DiscusB   DiscusB   DiscusB
   宮内君は緊急時を考慮して、常に110kmの高速で飛んでいたそうだ。
   私はDiscusばかり追いかけていたので、機体の速度がどうのこうのなんて頭にないし、
   計器なんて見ている余裕もなかった。

   最後にDiscusに近づき斜め下からのアングルで小野さんを撮った時はちょっと感動した。
   小野さんの顔がはっきり認識できる距離だったから.....
 
  DiscusB
   今回はあいにくの状況だったので、納得できる写真は撮れなかった。
   次回の合宿で再度トライすると決め、今回は良い練習であったと思うことにした。


  【1年生】
   今年は7名の一年生が入部し、その中の5名が合宿に参加していた。
   5名全員が航空宇宙システム工学を専攻しているそうだ。
      今はまだまだ頼りない彼らだが、来年はたくましくなっている事を期待したい。

   彼らは首都大学東京の学生なので2年間は旧都立大のキャンパスで学び、3年生から日野
      のキャンパスへ移るそうだ。

   航空短大航空部、工科短大航空部、科学技術大学航空部の伝統が、彼らを通じて首都大学
      東京航空部へと受け継がれていくと思うと、とてもかわいく思えてしまった。

      頑張れひよっこ達!
 
  1年生

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   現役の皆さん、お疲れ様でした。

   次回の合宿にも参加しますので、宜しくお願いします。

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